赤ら顔用化粧品のULUシェイクモイストミルク。
ネットには「効果なし」「乾燥する」「刺激が出る」
という口コミが目立ちます。
そこで、化粧品開発者の目から、
成分を分析し、
悪い口コミの原因や
赤ら顔に対する効果を
検証してみました。
購入前の参考にしてみてください。
目次
赤ら顔用化粧水ULU(ウルウ)は「効果なし」の口コミが多い
悪い口コミ
- これだけだと、とても乾燥します。効果は感じられませんでした。
- まったくうるおわない。二度とと使用したくないと思った。
- 赤ら顔も良くならないし、とくかくこれだけだと物足りない。
- 頬がカサカサして、赤みが逆にひどくなりました。
- 使ってすぐに刺激を感じたので使うのをやめました。
- ピリピリして、かゆみが出てしまいました。
良い口コミ
- 完全無添加で優秀な化粧品。肌が落ち着いてきました。
- 合成界面活性剤が全くはいってない化粧品は、なかなかないので貴重。
- 赤みが目立たなくなり、透明感が出てきました。
- これ1本では足りないですが、赤ら顔には効果がありました。
- 肌荒れと赤みが改善されて、驚いてます。
- これ使ってから「肌キレイになったね」って言われました。
ULU(ウルウ)成分分析
成分を目的別に分類
悪い口コミを見ると、
とにかく「肌が乾燥する」
というのが多いですね。
そこで、
乾燥の原因を突き止めるため、
配合目的別に
成分を分類してみます。
ULU全成分
セラミド混合天然乳化剤 | セラミド2 セラミド3 セラミド5 セラミド6II 水添レシチン ダイズステロール |
---|---|
油剤(エモリエント成分) | スクワラン ホホバ種子油 |
保湿成分 | トレハロース セラミド1 ヒアルロン酸Na タンブリッサトリコフィラ葉エキス(アンボラエキス) |
天然香料 | ノバラ油 |
水 | 水(浸透水) |
成分から見たULU(ウルウ)の特徴
この化粧水、
ちょっといろいろ常識と違うので、
どこから説明していいのか
戸惑ってしまいます。
えっ?作り方間違えてる?
おそらくこの化粧水、
「天然乳化剤」と呼ばれる
乳化剤原料を使っています。
「ダイズステロール」という
コレステロールに似たものと、
「水添レシチン」という
天然由来の界面活性剤に、
「ヒト型セラミド」を加えたものです。
この乳化剤は結構優れものです。
本来レシチンはとても乳化力が弱いのですが、
この乳化剤を使うと
セラミドや油分を、
水にきれいに混ぜることができます。
理由は、肌のバリア機能と同じ
「ラメラ構造」を作るからです。
ラメラ構造を作ると、
中に油分をたくさん
抱え込むことができて、
油分が水に良く混ざるのです。
なのですが、
ラメラ構造を作るのに、
まず「グリセリン」と「BG」に
乳化剤を溶かす必要があるのです。
ところがです!
ULUには
グリセリンもBGも
入ってないんです。
ラメラ構造が作れてないのです。
だから、乳化していない。
水と油が分離したまま。
「振ってよく混ぜてから使ってください!」
って。
「シェイクモイストミルク」とありますが、
ミルク(乳液)になっていないのです。
シェイクしても
すぐに分離して
ミルクにはなりません。
うーん、どうしてこうなった?
作り方間違ってないか?
まだちょっと意図が分からないです。
防腐、抗菌剤完全フリーの化粧水は普通作れないのですが・・
またまた成分を見てビックリ!
「これ腐んないかな?」
水をたっぷり使っているのに、
防腐剤も抗菌成分も
入ってないのです。
会社のホームページを見ると、
「高濃度のマイナスイオンと
ローズオイルの抗菌作用で防腐」
とあります。
「いやいや、それじゃ無理でしょ!」
ULU、いろいろ突っ込みどころ満載です。
でも、何か秘密あるよね?
と思って製造メーカーを調べてみました。
福岡の「株式会社ホウリン」さん。
もともと馬油の製造から始まったそうです。
そして、工場の設備を見ると、
「バイオクリーンシステム」とあります。
なるほど!
つまり、完全無菌状態で
製造充填をしているのです。
完全無菌で製造すると、
結構化粧品の原価が高くなります。
ウルウ、結構こだわってます。
普通化粧品は、
細菌が少し残った状態で
製造、充填し出荷されます。
なぜなら、
原料にも容器にも工場の空気中にも
細菌がいるので、
多少の細菌混入は避けられないのです。
でも、防腐剤や抗菌保湿剤などを入れると、
それら菌が繁殖して増えることがないので、
最後まで安全に使えるのです。
ところが、ULUは
完全無菌状態で製造、充填されています。
化粧品の中に菌が残っていないのです。
だから防腐剤も抗菌剤も
入っていないのです。
「でも、使うときに容器の口から雑菌入るよね?」
入ります!
だから、普通は
口から細菌が入らないように
「エアレス容器」を使います。
でも、ウルウはエアレスを使ってない。
エアレス容器使ったら、
さすがに原価が高すぎるのかもしれません。
ホームページには
「開封後2か月以内に使ってください」
と書いてあります。
おそらくテストして
2か月なら大丈夫だったのでしょう。
化粧品の専門家が乾燥と刺激の原因を究明!
きちんと乳化していないのが乾燥の原因
セラミドが入った天然乳化剤ですが、
グリセリンとBGを入れて
きちんとラメラ構造を作ると、
肌の中のセラミドと
同じ構造になります。
このラメラ構造のセラミドは、
水をがっちり抱え込んで離しません。
この水を「結合水」といいます。
結合水はなかなか蒸発しないので、
お肌が乾燥しません。
ところが、水と油が分離していると、
水はむき出しなので、
すぐに蒸発してしまいます。
ULUは水の方に
セラミドやトレハロース、
ヒアルロン酸Naなどの
保湿成分が溶けています。
しかしそれだけだと
結合水のように蒸発を防ぐことができません。
だから塗ってしばらくすると
すぐに乾燥してしまうのです。
さらに悪いのは
グリセリンが入ってないこと。
ヒアルロン酸Naは
「1gで6リットルもの水を抱え込む」
といいますが、
実はあまり保湿力強くありません。
結構すぐに乾燥します。
しかし、グリセリンと合わさると
飛躍的に保湿力が上がります。
つまりグリセリンを抜いたことで
ラメラ構造の乳化状態を作れず、
ヒアルロン酸の保湿力を活かすこともできず、
ダブルで保湿力が下がってしまったのです。
「ULUは乾燥する」
という口コミが多いのは、
以上のような理由であるというのが、
私の結論です。
刺激の原因はノバラ油の可能性あり
「かゆみが出る」「ピリピリする」「肌が荒れる」
という悪い口コミ。
もう一度全成分を見てください。
水、スクワラン、トレハロース、セラミド2、セラミド6II、セラミド3、セラミド5、セラミド1、ヒアルロン酸Na、タンブリッサトリコフィラ葉エキス、ホホバ種子油、ノバラ油、ダイズステロール、水添レシチン
これだけシンプルな全成分で、
かつ防腐剤も使っていないので、
刺激がでるのは普通、考えにくいのです。
そうなると、
ただ一つだけ怪しいのが
「ノバラ油」。
ノバラ油自体は天然精油(エッセンシャルオイル)で
美肌効果もあり、
決して悪い成分ではありません。
ところが、ULUは乳化させず
油分と水分が分離しています。
そして、ノバラ油は油分に溶けています。
これが問題なのです。
例えば100gの化粧水の中に
スクワランなどの油分が
1g入っているとします。
この化粧水に香りづけのために
ノバラ油をほんの少し入れます。
化粧水全体から見れば微量のノバラ油ですが、
すべて1gの油分に集中しています。
ULUは肌の上ですぐに分離するので、
油分だけに含まれるノバラ油が
直接肌に触れます。
すると、化粧水全体から見た比率の
100倍の濃度のノバラ油が
肌に触れることになるのです。
また、乳化で化粧水全体に分散されていれば
浸透しにくい精油も、
オイルだけに含まれている状態だと
非常に肌に浸透しやすくなります。
そのような理由から、
刺激や肌荒れを起こしているだと思います。
製造メーカーもそのあたりは
考慮していると思うので、
かなり低い濃度のノバラ油しか
入れていないと思います。
ただ、精油は化粧品原料の中では
刺激を起こしやすい成分ですので、
人によっては肌に合わないケースも
出てきてしまうのだと思います。
ウルウは赤ら顔をよく調べて開発している
ULUの口コミには
「効果がない」
という口コミが多いのですが、
「赤みが改善された」というものも
結構見つかりました。
そこで、赤ら顔に実際に効果がある
成分が使われているのか、
調べてみました。
顔の赤みを軽減する「アンボラエキス」
アンボラの葉と木 出典:2
マダガスカル産の
「アンボラ」という木の葉には
傷を治したり赤みを軽減する
働きがあるそうです。
フランスのバイエルの関連会社が
アンボラエキスを製造していて、
赤ら顔に効果があるとの実験データを
カタログにのせていました。
赤ら顔は
肌の刺激によって
赤みを引き起こす
「カテリシジン」という
物質が作られます。
アンボラエキスは
この「カテリシジン」を
減らす働きがあります。
実際に、56日間の使用で
頬の赤みが軽減した
と書いてあります。
出典:2
きちんとしたデータがあるので、
赤ら顔への効果も
期待できますね。
ただ、実感するには
最低でも2か月は
きちんと使う必要がある、
ということがわかりました。
「効かない」という口コミは、
1本だけ使って判断している
可能性が考えられます。
「ヒト型セラミド」による肌の保護効果
天然乳化剤原料に含まれた
「ヒト型セラミド」が、
2層に分かれた水の方に
含まれています。
ヒト型セラミドは
水にはほとんど溶けないのですが、
天然乳化剤があることから、
水に溶けやすくなっていると
思われます。
このセラミドが
角質層に浸透することで、
皮膚のバリアを補って
肌を保護します。
肌を保護して
外部刺激を防ぐことで、
顔が赤くなる原因「カテリシジン」
を減らすことが期待できます。
ただ、ひとつだけ残念なのは、
きちんと乳化して
ラメラ構造を作るようにしていれば、
さらに高い保護力が得られて
赤ら顔にも効果が出たのでは、
ということです。
社長さんの強いこだわりを感じる化粧品
いろいろ普通じゃないULU。
でも、社長さん、ずいぶんこだわったんだろうなぁ、
って想像がつきます。
製造メーカーとの間で、
おそらくこんな感じのやり取りが
あったのではないでしょうか。
防腐剤も界面活性剤も使わない完全無添加の化粧品作りたいんです!
防腐剤は入れないと無理ですよ。
じゃあいいわ。防腐剤なしで作れるメーカー探します。
防腐剤も界面活性剤も使わないで作ってくれるメーカーないかしら?
うちなら無菌システムがあるので防腐剤なしできますよ。
お願いするわ。
セラミドもスクワランも入れたいけど、合成界面活性剤は絶対に入れたくないの。
なかなか厳しい注文ですね。
あっ、いい原料ありました。天然成分で乳化できますし。まずは試作しましょう。
全成分にグリセリンとBG入ってるけど、これも抜けないかしら。
これ抜いたら、ちゃんと乳化できないです。
乳液じゃなくて水と油に分離しちゃいますよ!
使うとき混ぜればいいわ!最近そんな化粧品ほかにもあるし。
いいからやってちょうだい!
あくまで私の推測ですが、
メーカー泣かせの社長なのは確かでしょう。
化粧品メーカーは、
使用感、安定性、安全性を考えて
処方を作ります。
気持ちよく使っていただくために、
使用感にこだわります。
絶対分離しないように、
しっかり乳化します。
低刺激なものを選んで
必要十分な界面活性剤を使います。
腐敗しないように
きちんと防腐剤を入れます。
でも、クライアントのポリシーが
「防腐剤も界面活性剤も使わない
無添加化粧品」となると、
メーカーと意見がぶつかります。
メーカーも製造者責任があるので、
受け入れられないことも出てきます。
そんな、せめぎあいが結構起きるのです。
ULUはクライアントの意向を最大限にくんで、
メーカーがかなり譲歩して作った
化粧品であるように思います。
それだけ、ULUの社長さんの
こだわりが強いのだと思います。
成分を見ると、そんな感じが
ひしひしと伝わってきます。
【まとめ】結局ULU(ウルウ)は買うべきなの?
- 「防腐剤」「合成界面活性剤」フリーの完全無添加化にこだわった化粧品
- 無添加にこだわったことで「乾燥」「刺激」を起こしやすいのが欠点
- 赤ら顔改善の根拠がある「アンボラエキス」を配合
- 乾燥する方は他の保湿化粧品と併用が必要になる場合も
- 精油(エッセンシャルオイル)に敏感な方は注意が必要
- 赤ら顔に効果がある「完全無添加化粧品」を求めている方は、試す価値あり
【参考文献】
1)日本精化株式会社ホームページ, https://www.nipponseika-cosme.com/pdf/brands/PhytocompoComposite.pdf
2)in-cosmeticsホームページ, http://www.in-cosmetics.com/__novadocuments/5532