赤ら顔(酒さ)の根本的な原因は、
実は医学的にも
まだ解明されていないそうです。
しかし、近年の研究で
赤ら顔を悪化させるしくみが、
わかってきています。
そこで、
赤ら顔を悪化させる原因と、
そのしくみについて、
できるだけわかりやすく
説明したいと思います。
赤ら顔を悪化させる7つの原因
1.肌の乾燥
肌の一番表面の角層には
外部の刺激から肌を守る
「皮膚のバリア」
があります。
皮膚のバリアは、
主に「セラミド」から
できています。
肌が乾燥すると、
この「皮膚のバリア」が
弱くなります。
すると、
肌の外側からの刺激によって
炎症や毛細血管拡張が起こり、
顔の赤みが強くなります。
2.肌に合わない化粧品の使用
刺激やかゆみが出る
自分の肌に合わない化粧品を、
継続して使うことで、
皮膚のバリアが弱くなります。
バリアが弱くなると
敏感肌になります。
敏感肌になると、
健康な肌では
問題にならないような
弱い刺激でも、
肌の内側に
ダメージを受けてしまいます。
その結果、
炎症が起きて
顔が赤くなります。
3.紫外線
紫外線を肌に浴びると、
肌に炎症が起きます。
日焼けによる炎症は
通常時間がたてば
徐々におさまってきます。
ところが、赤ら顔の方は
紫外線の刺激がきっかけとなって、
日焼けの炎症がしずまっても
血管の拡張がおさまらず、
頬の赤みが強く出たままに
なってしまうのです。
4.アレルギー
花粉や黄砂などが
肌に付着することで、
アレルギー反応が
起きる場合があります。
すると、
かゆみや炎症が起きて、
それが刺激となり
顔の赤みが強くなります。
5.冬の暖房
冬、寒い屋外から
暖房が効いた部屋に入ると、
温度変化が刺激になり
頬が火照って
赤みが強くなります。
6.辛い食べ物
唐辛子の入った
辛い食事を食ると、
顔の赤みが
強くなることがあります。
顔面や舌の
副交感神経への刺激によって
起きると考えられています。
7.飲酒
お酒などの
アルコールを飲むことで、
毛細血管が広がり
顔の赤みが強くなります。
赤ら顔でなければ、
お酒が抜ければ
赤みがなくなります。
しかし、赤ら顔の方は、
アルコールの刺激によって
酔いがさめても赤みが引かず、
赤ら顔が悪化してしまいます。
「刺激」が赤ら顔悪化の共通点
赤ら顔悪化の原因には
共通点があります。
それは「刺激」です。
刺激を受ければ
顔が赤くなるのは
当たり前のようですが、
赤ら顔の人は、
そうでない人には起きない反応が
肌の中で起こっているんです。
刺激を受けると免疫が暴走?
体の中に細菌や異物が入ると、
それらを殺したり
破壊すしたりするのが
「免疫」です。
皮膚にも免疫細胞が
たくさんいて、
侵入してくる外敵から
体を守っています。
普通は
病原菌やウィルス、
アレルギー物質などに対して、
免疫が反応します。
ところが、
赤ら顔の人は、
病原菌やウィルス以外の
「刺激」に対しても、
免疫が過剰に反応してしまいます。
それが赤ら顔悪化につながるのです。
毛細血管を広げる物質が増える
免疫が刺激に過剰に反応すると、
肌の中に抗菌作用を持つ
「抗菌ペプチド」という
物質が作られます。
抗菌ペプチドはその名の通り、
細菌の増殖を抑えてくれる物質です。
ところが、抗菌ペプチドは、
炎症を引き起こしたり、
毛細血管を広げる
働きがあるのです。
その結果、
ちょっとした刺激を受けるだけで
炎症や血管拡張が起こり、
顔が赤い状態が
続いてしまうのです。
刺激を与えないための赤ら顔対策
1.保湿で肌の乾燥を防ぐ
乾燥で肌がヒリヒリするときは、
皮膚のバリアが低下して
肌が刺激を感じている状態です。
そのため、特に冬場は
保湿力の高い基礎化粧品で
しっかりうるおいを守ることが大切です。
2.肌に合った化粧品を使う
肌に合わない化粧品は
できるだけ早く使用を中止してください。
痛かゆくなったり、
赤みが出てカサカサしてきたら、
肌が強い刺激を受けているサインです。
3.一年中しっかり紫外線対策をする
紫外線を浴びると
日焼けをしていなくても、
肌は刺激を受けています。
赤ら顔の人は
夏だけではなく
できれば一年中、
UVカット機能のある
下地やファンデーションで
紫外線を防ぐことが必要です。
4.花粉や黄砂の季節は常にマスクをする
春や秋は
花粉や黄砂などのアレルゲンが
できるだけ付着しないよう、
頬がしっかり隠れる
マスクをすることがおすすめ。
5.冬はマフラーで頬を隠す
寒暖差による顔への刺激を
できるだけ防ぐために、
冬外出するときは、
マスクとマフラーで
しっかり頬をカバーする
ようにしましょう。
6.極端に辛い食べ物は避ける
汗が噴き出るほど
辛い食事は、
できるだけ避けるようにしましょう。
7.お酒も控えめに
血管拡張を引き起こす
アルコールは、
できるだけ控えましょう。
一度に飲む量と
飲む頻度を、
どちらも減らすように
することが大切です。
【参考文献】
山崎研志「赤ら顔と自然免疫」『日本香粧品学会誌』Vol.40, No.1, pp.20-23 (2016)